コラム

リフォームで使える減税制度|所得税・固定資産税・贈与税の要件と補助金との関係

この記事の結論

  • リフォームの減税は、所得税の控除(リフォーム促進税制か住宅ローン減税のどちらか)、固定資産税の減額、贈与税の非課税の3系統です。所得税はローンを使わなくても対象になります
  • 2026年10月時点の期限は、所得税のリフォーム促進税制が2028年12月31日までの居住(耐震は同日までの工事)、住宅ローン減税(増改築)が2030年12月31日までの居住、固定資産税が2031年3月31日までの工事完了、贈与税の非課税が2026年12月31日までの贈与です
  • 補助金と減税は併用できます。ただし所得税・固定資産税とも、工事費(標準的な費用の額)から補助金の額を差し引いて要件と控除額を計算します
  • 所得税は確定申告、固定資産税は工事完了後3か月以内に市区町村(23区は都税事務所)へ申告します。所得税の控除には、建築士事務所に所属する建築士などが発行する「増改築等工事証明書」が必要です(固定資産税の必要書類は工事の種類ごとに申告先で確認)
  • 自分が対象になるか、どの控除を選ぶかは、契約前に業者へ確認し、最終的には税務署・税理士に相談してください

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リフォームで使える減税の一覧(2026年10月時点)

対象になるのは、自分が所有して住む家のリフォームです。下の表は国土交通省の減税制度のページと国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在の法令等)をもとに整理しました。

税の種類 制度 対象の工事 内容 期限
所得税 リフォーム促進税制(住宅特定改修特別税額控除・住宅耐震改修特別控除) 耐震、バリアフリー、省エネ、同居対応、長期優良住宅化、子育て対応 標準的な費用の額の10%などを、居住した年の所得税額から1年分控除。国土交通省は最大控除額を60〜80万円と説明 2028年12月31日までに居住(耐震は同日までに工事)
所得税・住民税 住宅ローン減税(増改築) 増改築、大規模の修繕・模様替え、一定の省エネ・バリアフリー改修など 年末ローン残高(限度額2,000万円)の0.7%を10年間控除。最大140万円 2030年12月31日までに居住
固定資産税 リフォーム促進税制(減額措置) 耐震、バリアフリー、省エネ、長期優良住宅化 工事完了の翌年度分の固定資産税を1/2〜2/3減額(1年分) 2031年3月31日までに工事完了
贈与税 住宅取得等資金の贈与の非課税 親・祖父母から資金を受けて行う増改築等(工事費100万円以上) 省エネ等住宅1,000万円、それ以外500万円まで非課税 2026年12月31日までの贈与

所得税の2つの制度は、原則としてどちらか一方を選びます。国土交通省は、リフォーム促進税制と住宅ローン減税(増改築)は同時に適用できないとし、耐震改修だけは併用できると説明しています(国税庁No.1222も住宅ローン控除との併用を可としています)。一度選んで確定申告すると、後から変更できない点も各タックスアンサーに記載があります。

所得税の控除(リフォーム促進税制)の要件

控除額の計算式は6種類とも「A×10%+B×5%」です。Aは工事の標準的な費用の額から補助金等を差し引いた額(控除対象限度額まで)、Bは限度額を超えた部分や併せて行う増改築等の費用で、AとBの合計は1,000万円が上限です。

工事 主な要件 控除対象限度額(Aの上限) 出典
耐震 1981年5月31日以前に建築された家を現行の耐震基準に適合させる 250万円 No.1222
バリアフリー 本人が50歳以上、要介護・要支援認定、障害者、または65歳以上等の親族と同居。手すり・段差解消・浴室や便所の改良など8類型 200万円 No.1220
省エネ 居室の窓の改修、または床・天井・壁の断熱で平成28年基準相当以上 250万円(太陽光発電を含む場合350万円) No.1219
多世帯同居 調理室・浴室・便所・玄関のいずれかを増設し、うち2つ以上が複数になる 250万円 No.1224
長期優良住宅化 耐震か省エネの工事と併せて耐久性向上改修を行い、長期優良住宅建築等計画の認定を受ける 250万〜500万円(太陽光を含む場合350万〜600万円) No.1227
子育て対応 40歳未満の夫婦(どちらかが40歳未満)か19歳未満の扶養親族がいる。転落防止の手すり、対面キッチン化、収納増設、防音など 250万円 No.1228

耐震以外の5種類に共通する要件は次のとおりです。

  • 補助金等を差し引いた標準的な費用の額が50万円を超える
  • 工事の日から6か月以内に住み始める
  • 工事後の床面積が50㎡以上なら合計所得金額2,000万円以下、40㎡以上50㎡未満なら1,000万円以下(40㎡台は2026年1月1日以後の居住から対象)
  • 工事費用の2分の1以上が自分の住む部分の工事
  • 前年以前3年内に同じ控除を受けていない

床面積の要件は令和8年度税制改正で変わりました。国土交通省の資料では、所得税は2026年1月1日以降の居住から40㎡以上(所得1,000万円超は50㎡以上)となり、耐震改修には床面積の制限がないとしています。

「標準的な費用の額」は、実際に支払った金額ではなく、工事の種類ごとに国が定めた単価に面積などを掛けて計算した額です。この金額は増改築等工事証明書に記載されます。

固定資産税の減額の要件

固定資産税は工事完了の翌年度分が1年分減額されます。床面積の要件は、2026年4月1日以降に完了した工事から40㎡以上240㎡以下です(国土交通省資料)。

工事 減額 主な要件 出典
耐震 1/2 1982年1月1日以前からある家を現行の耐震基準に適合させ、工事費が50万円(税込)超 国土交通省
バリアフリー 1/3 築10年以上、賃貸でない。65歳以上、要介護・要支援の認定者、障害者のいずれかに当たる。補助金等を除いた工事費が50万円(税込)超 国土交通省
省エネ 1/3 2014年4月1日以前からある家、賃貸でない。窓の断熱改修を含む。補助金等を除いた工事費が60万円(税込)超 国土交通省
長期優良住宅化 2/3 耐震か省エネの改修を行い、長期優良住宅(増改築)の認定を受ける 国土交通省

23区の場合、申告先は区役所ではなく、家のある区を担当する都税事務所です。東京都主税局の省エネ改修の案内では、1戸あたり120㎡相当分までの税額の1/3を減額し、工事完了後3か月以内に申告すること、耐震の減額とは重ねて受けられないことが示されています。耐震改修については、東京都主税局の案内で固定資産税・都市計画税の減額・減免が説明されており、1982年1月2日〜2001年1月1日に建てられた木造在来工法の平屋・2階建ての住宅(2024年4月1日以降の工事完了分)も対象に含まれています。

補助金を受けた場合の扱い

補助金と減税は併用できますが、補助金の額を差し引いた金額で計算します。 これは各制度の公式資料に明記されています。

制度 補助金の扱い 出典
所得税(リフォーム促進税制) 標準的な費用の額から補助金等を差し引いてAとBを計算。50万円超の判定も差し引いた額で行う 国税庁No.1219・1220・1222・1224・1227・1228
住宅ローン減税(増改築) 工事費用から補助金等を差し引き、100万円超かを判定。控除の計算でも差し引く 国税庁No.1211-4
固定資産税(バリアフリー・省エネ) 工事費から補助金等を差し引いた額で50万円超・60万円超を判定 国土交通省資料、東京都主税局
贈与税の非課税 国税庁No.4508に補助金の扱いの記載なし 国税庁No.4508

たとえば23区で窓の断熱改修をする場合、国のみらいエコ住宅2026事業、東京都の既存住宅における省エネ改修促進事業、区の制度(世田谷区なら令和8年度世田谷区エコ住宅補助金)を組み合わせることがあります。国税庁No.1211-4は「国や地方公共団体から交付される補助金等」を差し引くとしています。受け取った補助金のうちどれを差し引くかは、申告前に税務署で確認してください。補助金が大きいと、差し引いた後の額が50万円・60万円の要件を下回り、減税の対象外になることもあります。

計算の流れを、国税庁No.1219の式に当てはめると次のようになります(省エネ工事だけを行い、併せて行う工事がない場合)。

項目 金額
省エネ改修の標準的な費用の額 300万円
受け取った補助金の合計 100万円
A(差し引き後、限度額250万円以内) 200万円
控除額(A×10%) 20万円

実際の控除額は、標準的な費用の額、所得税額、ほかの工事の有無で変わります。自分の場合の金額は税務署か税理士に確認してください。

申告に必要な書類と手順

所得税の控除は自分で確定申告し、固定資産税は自分で都税事務所(23区)に申告します。補助金のように業者が申請するものではありません。

時期 すること 主な書類
契約前 減税の対象になるか、どの控除を使うか、証明書を誰が発行するかを業者に確認 見積書
契約・工事 契約書・領収書の写しを保管 工事請負契約書、領収書
工事完了後 建築士等に証明書を依頼。補助金の交付決定通知書を保管 増改築等工事証明書、補助金の額がわかる書類
完了後3か月以内 固定資産税の減額を申告(23区は都税事務所) 固定資産税減額申告書、増改築等工事証明書など
居住した年の翌年の確定申告 所得税の控除を申告 計算明細書、増改築等工事証明書、登記事項証明書など

増改築等工事証明書を発行できるのは、建築士事務所に所属する建築士、指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関、住宅瑕疵担保責任保険法人です(国税庁No.1219)。耐震改修は市区町村が発行する住宅耐震改修証明書でもよいとされています(No.1222)。バリアフリーで介護保険の認定を受けている場合は被保険者証の写し、長期優良住宅化では認定通知書の写しも必要です。

補助金を受け取ったときの確定申告の要否や、書類の詳細はリフォーム補助金と確定申告で整理しています。

迷いやすい点

リフォーム減税を使うときに、よく迷う点をまとめました。

住宅ローンを使うとどちらの控除がよいか

所得税は、リフォーム促進税制と住宅ローン減税(増改築)の要件をどちらも満たす場合、どちらか一方を選びます(耐震を除く)。どちらが有利かは借入額、工事内容、所得税額で変わり、公式資料に一律の答えはありません。確定申告の前に税務署か税理士に相談してください。

贈与税の非課税は期限が近い

国税庁No.4508では、対象は2024年1月1日〜2026年12月31日の贈与です。増改築等の工事費が100万円以上、受贈者が18歳以上で合計所得金額2,000万円以下(40㎡以上50㎡未満は1,000万円以下)などの要件があり、非課税を受けるには贈与を受けた翌年2月1日〜3月15日に贈与税の申告が必要です。2027年以降の扱いは、この記事の確認時点で国税庁のページに記載がありません。

住民税への影響

住宅ローン減税(増改築)は、所得税で控除しきれない分を翌年度の住民税から控除できます(上限9.75万円/年、国土交通省資料)。リフォーム促進税制は所得税額から控除する制度です。

次にすること

使う制度と申請の順番を確かめたら、次のページで住んでいる区や工事の場所の制度を確認してください。

  1. 工事の場所ごとに、補助金と減税の両方を使えるか確認します。使える制度を調べる
  2. 窓の断熱や耐震は、補助金と減税の両方に関係します。窓・内窓の補助金、耐震改修の補助金
  3. 補助金を受け取った後の手続きはリフォーム補助金と確定申告を確認してください
  4. 見積もりの段階で、業者に「増改築等工事証明書を発行できるか」を確認します

出典

この記事の数値と制度の条件は、次の公式資料で確認しています。

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