コラム
リフォーム補助金と確定申告|申告が必要かを状況別に判断する手順
この記事の結論
- 個人が受け取ったリフォーム補助金は、国土交通省のみらいエコ住宅2026事業のQ&Aで「一時所得に該当するため、一定額以上は申告が必要」とされています
- 同じQ&Aで、この補助金は所得税法第42条の「国庫補助金等」に当たり、所定の手続きで所得から除外できる場合があるとも説明されています。手続きは確定申告書に明細書を添付する方法です(国税庁No.2202)
- リフォーム減税(所得税の控除)や住宅ローン減税を受ける場合は確定申告が必要で、控除の計算では受け取った補助金の額を差し引きます。補助金の交付決定通知書など、額がわかる書類を用意します
- 自分の場合に申告が必要か、どの扱いになるかは、国の資料でも「税務署等に確認」とされています。この記事の表で状況を整理したうえで、税務署か税理士に相談してください
状況別:確定申告が必要かの整理
補助金を受け取っただけで申告が必要かどうかは、ほかの所得や減税を使うかで変わります。 公式資料に書かれている扱いを、状況別にまとめました(2026年10月時点、国税庁の資料は令和8年4月1日現在の法令等)。
| 状況 | 公式資料に書かれている扱い | 次にすること | 出典 |
|---|---|---|---|
| 補助金を受け取り、減税は使わない | 個人の補助金は一時所得に該当し、一定額以上は申告が必要。国庫補助金等に該当するため、所定の手続きで所得から除外できる場合がある | 補助金の額と交付元をまとめ、申告が必要か税務署に確認 | みらいエコ住宅2026 Q&A |
| 上の状況で、給与所得者(給与1か所・2,000万円以下) | 給与・退職所得以外の所得の合計が20万円以下なら、原則として確定申告は不要 | 補助金が一時所得になる場合の所得金額を計算し、20万円との関係を確認 | 国税庁No.1900 |
| リフォーム減税(所得税の控除)を使う | 確定申告が必要。控除の計算は補助金等を差し引いた額で行う | 増改築等工事証明書などを用意して確定申告 | 国税庁No.1219 ほか |
| 住宅ローン減税(増改築)を使う | 初年分は確定申告が必要。工事費用から補助金等を差し引く。2年目以後は給与所得者なら年末調整で受けられる | 補助金決定通知書などを添付して確定申告 | 国税庁No.1211-4 |
| 確定申告をする(減税・医療費控除・事業所得など) | 20万円以下の所得でも、申告するときは含めて申告する | 補助金を所得に含めるか、国庫補助金等の明細書を添付して除外するかを確認 | 国税庁No.1900、No.2202 |
| 固定資産税の減額だけを使う | 確定申告ではなく、工事完了後3か月以内に家のある区の都税事務所(23区)へ申告 | 固定資産税減額申告書と増改築等工事証明書を提出 | 東京都主税局 |
| 親・祖父母から工事資金の贈与を受けた | 非課税の特例を受けるには、贈与の翌年2月1日〜3月15日に贈与税の申告が必要 | 増改築等工事証明書などを添付して贈与税を申告 | 国税庁No.4508 |
確定申告を使って減税を受ける場合は、20万円以下の所得も申告に含める必要があります(国税庁No.1900)。「補助金は少額だから申告しない」と「減税を受けるために申告する」は両立しない点に注意してください。
補助金の税の扱い:一時所得と国庫補助金等
補助金の所得税の扱いは、国税庁の資料で次の2つが示されています。
国庫補助金等の総収入金額不算入
国税庁No.2202では、固定資産の取得や改良のために国や地方公共団体から補助金を受け、交付の目的に沿って使った場合、使った部分の金額を総収入金額に含めない扱いになると説明しています。条件は、確定申告書に「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」を添付することです。この扱いを受けた資産は、取得費・改良費から補助金の額を差し引いた額が取得費になります。
明細書の記載要領では、補助金を交付した者(国・地方公共団体・その他)と名称、交付を受けた額、補助金で取得・改良した固定資産の種類などを記載します。
一時所得
所得税基本通達34-1では、国庫補助金等のうち、上の総収入金額不算入の規定の適用を受けないものは一時所得になるとしています。一時所得の金額は、国税庁No.1490の式で計算します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 計算式 | 総収入金額 − 収入を得るために支出した金額 − 特別控除額(最高50万円) |
| 課税の方法 | 一時所得の金額の2分の1を、給与所得などほかの所得と合算 |
リフォーム補助金に支出した金額をどう扱うか、同じ年のほかの一時所得(生命保険の一時金など)との関係は、公式資料にリフォーム補助金に絞った説明がありません。自分の計算は税務署で確認してください。
減税と併用するときの補助金の差し引き
減税を使う場合、補助金の額は控除額の計算から差し引きます。 これはリフォーム減税と住宅ローン減税のどちらにも共通しています。
| 制度 | 差し引く対象 | 出典 |
|---|---|---|
| リフォーム促進税制(耐震・バリアフリー・省エネ・同居・長期優良住宅化・子育て) | 標準的な費用の額から補助金等を差し引く。50万円超の要件も差し引き後で判定 | 国税庁No.1219・1220・1222・1227など |
| 住宅ローン減税(増改築) | 増改築等の費用から補助金等を差し引く。100万円超の要件も差し引き後で判定 | 国税庁No.1211-4 |
| 固定資産税の減額(省エネ) | 工事費から補助金等を差し引いた額が60万円超 | 東京都主税局 |
みらいエコ住宅2026事業のQ&Aも「住宅ローン減税等を併用する場合、住宅の取得価格等から控除する必要があります」としています。
差し引く補助金は、国の制度に限りません。たとえば世田谷区で窓の断熱改修をして、国のみらいエコ住宅2026事業、東京都の既存住宅における省エネ改修促進事業、令和8年度世田谷区エコ住宅補助金を受けた場合を考えます。国税庁No.1211-4は「国や地方公共団体から交付される補助金等」を差し引くとしています。3つのうちどれを差し引くかは、申告前に税務署で確認してください。補助金の合計が大きいと、差し引き後の額が50万円などの要件を下回り、減税を受けられないことがあります。
減税を受ける確定申告の必要書類
所得税のリフォーム減税と住宅ローン減税で必要な書類を、国税庁のタックスアンサーで確認しました。
| 書類 | リフォーム促進税制 | 住宅ローン減税(増改築) | 入手先 |
|---|---|---|---|
| 確定申告書 | 必要 | 必要 | 税務署・国税庁サイト |
| 控除額の計算明細書 | 住宅耐震改修特別控除額・住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書 | (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書 | 税務署・国税庁サイト |
| 増改築等工事証明書 | 必要(耐震は市区町村の住宅耐震改修証明書でも可) | 必要(大規模の修繕等は確認済証・検査済証の写しでも可) | 建築士等 |
| 登記事項証明書など(床面積、耐震は建築時期) | 必要(不動産番号の記載で省略可) | 必要(不動産番号の記載で省略可) | 法務局 |
| 補助金の額がわかる書類 | 国土交通省の資料で用意するよう案内 | 補助金決定通知書など | 補助金の交付元 |
| 請負契約書の写しなど | — | 必要 | 自分で保管 |
| 借入金の年末残高等証明書 | — | 必要 | 金融機関 |
| 介護保険の被保険者証の写し | バリアフリーで要介護・要支援の認定を受けている場合 | — | 自分で保管 |
| 長期優良住宅建築等計画の認定通知書の写し | 長期優良住宅化の場合 | — | 所管行政庁 |
増改築等工事証明書を発行できるのは、建築士事務所に所属する建築士、指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関、住宅瑕疵担保責任保険法人です(国税庁No.1219)。工事業者が発行できるとは限らないため、契約前に誰に依頼するかを確認しておくと、完了後の手続きが進めやすくなります。
国土交通省のリフォーム促進税制のページでは、補助金を利用した場合に交付決定通知書など交付額がわかる書類を用意するよう案内しています。補助金の通知書は、補助金の手続きが終わった後も確定申告まで保管してください。
判断の手順
補助金を受け取った年に確定申告が必要かは、次の順番で判断します。
- 受け取った補助金を一覧にする:国・都・区の制度名、交付額、交付決定通知書の有無
- 減税を使うか決める:所得税のリフォーム減税、住宅ローン減税、固定資産税の減額のどれを使うか(リフォームで使える減税制度)
- 確定申告をするか確認する:減税を使う、給与以外の所得がある、などで確定申告をするなら、補助金の扱い(一時所得として含めるか、国庫補助金等の明細書を添付するか)を税務署で確認
- 書類をそろえる:増改築等工事証明書、補助金の額がわかる書類、登記事項証明書など
- 申告する:所得税は居住した年の翌年の確定申告、固定資産税は工事完了後3か月以内に都税事務所
税務署の相談窓口や税理士に相談するときは、補助金の交付決定通知書、工事の請負契約書、見積書を持参すると話が進みます。
次にすること
使う制度と申請の順番を確かめたら、次のページで住んでいる区や工事の場所の制度を確認してください。
- 使える減税の要件と期限を確認します。リフォームで使える減税制度
- これから補助金を探す場合は、工事の場所と区から調べます。使える制度を調べる
- 窓の断熱は国・都・区の補助金が重なりやすい工事です。窓・内窓の補助金、世田谷区のリフォーム補助金
出典
この記事の数値と制度の条件は、次の公式資料で確認しています。
- 国税庁 タックスアンサーNo.2202 国庫補助金等を受け取ったとき
- 国税庁 タックスアンサーNo.1490 一時所得
- 国税庁 所得税基本通達 法第34条《一時所得》関係(34-1)
- 国税庁 タックスアンサーNo.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(Q&A)
- 国税庁「国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書」記載要領
- 国税庁 タックスアンサーNo.1219 省エネ改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)
- 国税庁 タックスアンサーNo.1220 バリアフリー改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)
- 国税庁 タックスアンサーNo.1222 耐震改修をした場合(住宅耐震改修特別控除)
- 国税庁 タックスアンサーNo.1227 耐久性向上改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)
- 国税庁 タックスアンサーNo.1211-4 増改築等をし令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)
- 国税庁 タックスアンサーNo.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
- みらいエコ住宅2026事業 よくあるご質問(全体)
- 国土交通省「住宅をリフォームした場合に使える減税制度について」
- 国土交通省「リフォーム促進税制(所得税・固定資産税)について」
- 東京都主税局「省エネ改修を行った住宅に対する固定資産税の減額」
- 住宅リフォーム推進協議会「住宅リフォームの支援制度(令和7年度版)減税制度」
- みらいエコ住宅2026事業(国土交通省)
- 東京都 既存住宅における省エネ改修促進事業(クール・ネット東京)
- 世田谷区 令和8年度世田谷区エコ住宅補助金